★不規則な勇気★
これは2005年2月21日にメルマガで配信したものです。
髪飾りの羽がゆれた…
羽を直し、大樹の天辺の枝に腰かけて腕を夜空にのばした。
夜の星たちを眺めながら…星を、掴もうとしているのか、そんな自分を自嘲気味に笑って、すぐに腕を胸元におろした。
その胸元に収めてあるのは、木苺。
数日前、風に任せて飛んでいた時立ち寄った水場でかごめの声が聞こえ、暇つぶしに立ち聞きをしたことを思い出す。
『明日は好きな人にチョコ…』
その時、一気に体温が上昇した。
──“あいつの顔が浮かんだのは…なぜだ?”
神楽はあわててあいつ…殺生丸の顔を振り消した。
話を聞くうちに、好きな人に甘い食物を渡すらしい…神楽はケッっと吐き捨てその地を飛びだった。
「──あたしには、関係ないね。」
そういいつつ、頭には殺生丸の顔が離れない。
ガザガザ
「…………っ///」
“あたしは…なにやってんのさ!!///”
そこにはに草花を掻き分けた所にある実を、懐にいれる神楽がいた。
「…べつに…おやつだよ!」
誰にともわからないいいわけが、つい口からこぼれた。
そして、今現在、未だに艶やかさを保つ実…木苺に目をやった。
ふう…っとため息を出し、気晴らしに高く高くと夜空に飛びだった。
「どうしょうかねぇ─、…これ。」
木苺を見ながら
“好きな人に…”
カァッ!!//////
いきなりかごめの言葉が頭をよぎり、
“…あたしは病気かなんかかい!?///”
っと、自問すると──、あわてた拍子に木苺がと落ちた。
深森へとおちる木苺を手が追い掛ける───
木苺がつぶれていた。
木苺とともに、神楽によってつぶされた野草花も木苺の赤により赤い花びらがちらばっていた。
「……けっ…なにやって…」
赤い…胸元を見る。
「あたし…、らしくもねえ。」
…───木苺くらい。
その時、銀の糸が目に入った。
「せ、殺生丸様、おまちくださいぃ!!!」
「…あ、あの…血?」
りんが、まっさきに神楽に近づいた。
神楽の目には、自分を見つめる殺生丸しか映していない。
“なんで………?”
自問したつもりが、言葉にでていた。
「………。」
なにも、答えない。
“偶然”…なだけかもしれない。
「痛いところはないの?」
はっと、りんの声に気付き、
「…べつに、どってことない…っぅ」
少し、足をひねったようだ。
「まだ、立たないほうがいいよ!」
あわてて、りんが支えようとしたが…
無理して立ち上がった。
殺生丸に文句の一つでも言わなきゃ気が納まらなかった。
よくわからないけど、無償にむかつく!!
「やい、殺生丸ーっぁ!!!」
ポスッ…
「!?//////」
「…ふん。」
勢いにのって、殺生丸に倒れかかってしまった。
顔にあたるのは殺生丸の胸…
カァァァァァァァ!!!!
「///そ、あ、ぁ…わ…」
あわてて離れた。
「わ、悪かったなぁ!!!!」
言うが早いか、神楽は直ぐ様飛びだった
「なんだったんじゃ?」
いぶかしげに邪見がつぶやき、りんも首を傾げた。
「…」
あいかわらず、無口な殺生丸は胸元についた甘酸っぱい匂いを見て
それを
手に取り、その甘ずっぱい汁で赤く滲んだ花びらを見つめ───、夜空を見る。
そして…
「…行くぞ。」
「ははぁ!!…ゆくぞ、りん!!!」
「はーい」
未だ花びらを手に持ち、今夜の寝床へと向かった。
寝床へ着くと、さっきの殺生丸の不可解な行動に邪見は眉根を寄せていた。
「邪見様、あんまり眉よせてると幸せが逃げるよ」
「アホ、そんなことはあるわけなかろう。」
りんをあしらい、さっきの──…殺生丸様の行動を考える。
寝床を目前に、神楽のもとへ行くように、行かれた殺生丸様。
「まさか…、いやいや、何かお考えがあってのことだろうと…」
「邪見様、なんか殺生丸様甘酸っぱい匂いがするよー。」
「あ〜おまえは気楽でよいなのう;もう早く寝らんか。」
ぷうっと頬を膨らませ、あ・うんの所にいくりん。
そんな殺生丸のことなど知らずに、神楽はただただ風にのって飛んだ。
一枚の花びらが、殺生丸のもとにあるとも知らずに───
おわり
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ながながとすみません(゚Д゚;)予定とかなり違いました!!自分的にめずらしいです(-д-;)
神楽も、木苺は渡せなかったけど、花びらは受け取って(?)もらえてよかったね!!!
私的には殺生丸も神楽にたいしてまんざらでもないと妄想してますのでvVV